「数百光年向こうの星」
そっと部屋のドアを開け
明かりを点け
くたびれたジャケットを脱ぎ捨てる
カラッカラになるまで汗を吸ったユニクロの安っぽさがおれにはお似合いだ
根性なしのジャパニーズは窓を開けベランダに出てマルボロを一服
くゆらす煙が目にしみる
ふっと目を閉じる
浮かんでくるのはあいつの顔
16で出会ったのが上野水上ステージ
だからおれのタトゥーと守り神は蓮だ
生まれてはじめて身体に傷をつけた
破壊と再生にひどく胸が震えた
あれからやっと5年が経ち
去るものは去り
残るものはまだ立ってる
おれもひとりじゃないと気づいた
気づけば支えてくれる奴らがいた
ポエトリー・リーディングで伝えたい限界なんてない
生きてればそれだけで伝えられる
詩人ってのは本来そういうもんだ
ソウルだろうがファッションだろうが
上を目指す人間だけに染みついた覚悟と痛みがあることを知った
東京も京都も何ひとつ変わりゃしない
ここはすべての風が立ちすくむ路上
詩と書いた紙を力いっぱい放り投げる
うまい言い回しや気の利いたセリフ
使い古されたフレーズはいくらでもあるが
たとえ間違ってようが無骨だろうが
おれはおれなりの日本語でいきたい
2000何年も続いた歴史なら
今さら後悔や言い訳など論外
ましてやスタンダードもクソもない
新しくはじめることだけが全てじゃないように
そこで呼吸をやめてしまえば何もないと同じだ
だがおれは死んでった友人たちの生き方を信じる
僕は生きている あなたが動くよ 僕は包まれる風の中で
ある人は死んだ ある人は生きた それが世の中 それが怒り
悲しい
今
おれの目の前で数百億光年向こうの星が動いた
瞬間と快楽が織り成す永遠と苦痛
実感のない心の痛み
希望 絶望 欲望そして野望
全部ひっくるめてこの腕で抱え込む
いつだって今が終点で始点
知らない奴の分まで落とし前つけにいこうぜ
暗夜行路ただ煌々と月の照らし出す方向の向こう
どうこう言ってる暇はない 求められてるのは迅速な行動
夜毎あくせく汗垂らした末 ひとりで心のなかにつくった砦
今じゃ見るもおぞましい廃棄物ばっかり詰まったトイレ
溜まりに溜まった感情を吐き出す音入れ
笑ったっていいぜ それでも俺はこれで今日をしのいで
命へ注入するどでかいヴォリュームで
だから今は諦めるな俺がいいと言うまで
ALL DAY駆け抜けろ 全速力で走れ
今
おれの目の前で数百億光年向こうの星が動いた
瞬間と快楽が織り成す永遠と苦痛
実感のない心の痛み
希望 絶望 欲望そして野望
全部ひっくるめてこの腕で抱え込む
いつだって今が終点で始点
知らない奴の分まで落とし前つけにいこうぜ
きのうの続きがあした
それでも今日が来ないよりはマシだ
少しずつ中身の入れ替わった身体で
歩いていく
人はたった今生まれた
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「深海魚」
部屋の中だけで生きてる俺は深海魚
外の世界を見ず引きこもるインサイド
思惑交差する真夜中
こんな眠れないスリープレスナイトでもやっていかないと
つなぐネット チェックするサイト
ひとつも載ってない回答
窓の外消えかかる街灯のライト
最後のトライを決められなかったアタッカー
わかったものはあまりにすくなすぎたんだ
威勢よく切る啖呵 口先だけのトップランカー
あの頃の日々へ
断トツの半端者の跋扈する暗夜行路
よくあるコードで男どもが探索する方向
僕の胸に突き刺さる
アダルトな夢は隠しても確実に高くつく
くすくす笑う女たちのあそこはだいたいこんなかたち
あたしいくらに見える?って誘い文句は下手だし
腹にこっそりついた贅肉 ただし心根は意外と貞淑
胸がくさる 頭が重い
生活苦ではあれど欲しい精がつく食べ物
片言の日本語で働く子どもみたいなフィリピーナ
Cがやりたいんです せめて詩が書きたいんです
若者は精神病好きなんていうのはまだ序の口
こんな世の中だし上手にやらなきゃ誰だってすぐ用済み
葬式喪服の襟を切る みんなぼくに注目している鋭い顔
見えないガラスで指を切る深い海に赤く
朝日がまた眠気を誘う
灰皿の上につもりに積もった吸殻の山
いつかは崩れてばらばらに解け落ちてしまう繋がり
僅かに暗闇の中光っていた蛍光灯
とっくに切れちまった電球
まったく空っぽになった頭の中
つながりたい つながれない
つながりたい つながれない |
「群れた青」
手のひらをなぞってみる
最初は弱く 少しずつ強く
右から左へ 斜め上から下へ
最初は弱く 少しずつ強く
アンテナ肩に刺して掴まる君を見て仮面を剥がした羊達の群れの中
そういえばあの駅に感覚を置き去りにした
日曜日の次は決してやってこない月曜日 火曜日 水曜日
きみが遠くの街を歩いているのがここからよく見える
はじめて出会う景色が次々きみを受け入れていく
つぎはぎだらけの牛飼いたちが
次々口々に愚痴をわめきたて
はじめたところで目が醒めた
きょう 曜日のない午後
この汗は誰の手で拭おう
この顔は誰のために笑おう
誰のために笑おう
アンテナ肩に刺して掴まる君を見て仮面を剥がした羊達の群れの中
青 臨海線 閉じられた部屋
苛立ち 左手首 また青 また青
この世界ではどこにいたとしても
夜明けが全部持ち去っていく
憂鬱な朝に何を思う
きみはどこへ
癒えることのない青
部屋中一面差し込む青
そのなかに横たわる しずかに
苛立ち 左手首 さまよう視線
青 青 青
青 臨海線 閉じられた部屋
苛立ち 左手首 青 |
「8秒の間」
八秒の間 君の青空遠く落ちていく ガードレールが倒れて さかさまの世界
縦にぶら下がる雲 色鉛筆の芯が折れる
髪の毛がちりぢりに タバコの煙のようにすっと心を抜かれる
空で手を結び 君の声が聞こえない 深夜四時のテレビのように 鳥よりも
早く 獣を狙う
赤い右手 マニキュア 最後に見た唇
ガラスと散らばる歯くず
星もばら撒くトナカイの仕業
ああ 昔 父さんと観た古い映画みたいに
最後には誰もいなくなってしまうの
淡い期待 あきらめ
次があるんじゃないかって あきらめ
隣にいるきみの顔がよく見えない
名前を持たない鳥のあくび
長すぎる午後を切り裂いてふたりは
ひとりになりそこねたまま
ひとつとひとつで向かう
ひとつとひとつへ向かう
ぼくがきみを引っ張っているのか
きみにぼくが引きずられているのか諦め
目の前がチカチカする
ああ 昔が未来になっていく
ぼくらはたくさん楽しい話をした
歴史の中へ帰っていく
ぼくらはとてもよく笑った
目の前が
まだ残っている感覚がチカチカして
きみの顔がよく見えない
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「荒地」
文学と音楽が交差して 世界はドラムス 人々はマイク
青空タンバリン 時のフルート 奏でる
スペードのカードを引きました 宝箱を失いました
かけがえの無い戦いから生まれたよ
伝えたいことなんてひとつもないんだ
ただ きみのことをすこしだけ教えてほしい
真っ白なテーブルをはさんで 話をしよう
くだらない話だっていいから 話をしよう
きみがたばこを吸うなら灰皿があるよ
コーヒーよりビールがよければ冷蔵庫にあるよ
お気に入りの曲があるなら持ってきておくれ
あと何時間かすれば 夜も明けるさ
ぼくらは生まれてきてからうろうろしてばっかりいる
やたらと価値あるものや信用を求めすぎる
何を大事にしたらいいのか ちっともわからない
テレビ ラジオ インターネットの中をさまようばかりで
彷徨う迷路が僕を困らせるよ
彷徨う迷路が僕を困らせるよ
彷徨う未来が僕らの生きかた だよ
空しさに蒔かれて ずっと草を踏みながら
命の上に立つ美しい人が僕にキスをするよ
でもここではそんなもの 気にすることはないんだ
きみが望むんならあの軽薄なラヴ&ピースを唱えてもいいし
一昔前の憂国青年を気取ることだってできるはずさ
そう ここは賞味期限つきの 素晴らしい世界
やがてぼくらは出会うことになる
この広い荒地のどこかで
夢とか希望みたいなものはいくつあっても足りないよ
でも夜はちゃんとねむりたい 明日しっかり生きてゆくために
楽しかったパーティが終わって 朝になれば音楽は止まるけど
友達よ 決して歩くことを忘れないで きみのその鼓動だけが今日を運ぶ
全ての僕が背中を押して 背中を押した僕が君の背中を押すよ
愛したい 笑いたい わかりあいたい
ワナビーばっかりのこんな時代を
信じていたいから
言葉を鳴らそう
やがてぼくらは出会うことになる
偶然 おなじ本に手をのばすように
雨やどりのため駆けこんだ大きな木の下で
ひとつの存在にはなれなくとも
手をたずさえてゆくことができる
この素晴らしい世界で |
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