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「107年前のピアノと声のみで作られた亡霊たちの記録」
Paranel 2ndアルバム「オールドテープ」発売。


2012年の秋、神戸市塩屋の旧グッゲンハイム邸にて録音された、LHW?のピアニストMonk is my absoluteによる107年前の古いピアノの即興演奏。海を臨む古い洋館はあらゆる音に震え、ピアノが演奏されるとまるで亡きひとたちが集まってくるかのような不思議な夜でした。時間に束縛されない特別なピアノ音源と長いあいだ向き合い、命を削りながら言葉を吹き込んで生まれた新たな名作。元々、『タイムリミットパレード』制作と同時期に構想を開始。たくさんの人々、さまざまな物語との共生を、自らの死までの時間制限のあるパレードになぞらえたその作品と関連するように作りはじめられた『オールドテープ』。

「人の最期に再生される思い出と過去が詰まったテープ」というコンセプトを、ビートやリズムを排除し、ピアノと声のみで作り上げました。

本作のなかで最初に作られたあたたかい名曲「温度」、エリック・サティの「ジムノペディ」を引用した「アパートメント」、LHW?の看板猫トゥーのことを歌ったラヴ・ソング「TWO」、消えいくような儚さに包まれるエンディング「川辺」と、曲によって表情を変えるParanelの歌は、ビートに頼ることなくはじめてヴォーカリストとしての表現を突き詰めています。さらにParanelの創造性あふれる詞の世界はピアノのみのシンプルな編成ゆえ、より深い情趣を獲得しました。

本作制作のあいまに作り発表した2015年のミニ・アルバム『球体』において、ceroやFishmans佐藤伸治に通じる歌に寄ることで新境地のシティ・ポップに仕立てあげて支持を広げましたが、孤独とかなしみにまみれ、弱さと繊細さに満ちながらも強く美しい『オールドテープ』はより大きな驚きをもって受け止められることでしょう。かなしみを決して失いたくない人たちに永遠に愛される歌。Paranelにとって、これが自分自身のことを歌う最後の作品となります。


 


LIIP-1524 Paranel 「オールドテープ」 ¥2,000+税

01. 温度
02. 嫌になる
03. 潜水艦
04. 映写機
05. 独房
06. 青い人
07. アパートメント
08. 四季
09. おばけの時間
10. パーティドレス
11. TWO
12. バイバイ
13. 川辺


Piano by Monk is my absolute
Produced by Paranel

 

 

 

 


MEDIA

CD jounal 2016年7月号 2Pインタビュー掲載


「アルバムを終えて」

このアルバムには僕の人生の上でとても大切な、これ以上にない作品として4年間向き合いました。
この世を去る時、テープレコーダーでひとつだけ大切な思い出を吹き込むことができる。誰かがそれを再生する時、私で居られるように。 このアルバムにはもう一つのメッセージがあって、僕を生かしてくれた様々な人たちに贈った愛の歌でもあります。

「温度」妻を亡くした、老いた画家の思い出。妻は美しい花のようだった。だからいつも座っていた椅子に花を飾った。 花瓶は窓から差す光に反射して、部屋を駆けまわる。 いつかは枯れてしまうけど、彼にとっての永遠がありますようにと願う。 「一緒に生きよう」と言ってくれた人がいた。 その言葉は死のうとしていた自分には勿体ない言葉だった。

「嫌になる」これはアルバム「旅人たちのホテル」につながる曲。 ここは北極星に一番近い場所。彼はこの部屋が好きだった。 染みついた家具、カーテン、日に変わるコントラスト。 僕に音楽そのものを教えてくれたのはsetopianicsだった。 彼と彼の友人たちに音楽を教わり、楽しいと思えた。 音楽に触れるということをいままで知らなかった。

「潜水艦」とある電車の中で起きた若者の初恋の思い出。 出会いは阪急電車の中、あの日、急いでいた私に声をかけてくれたのはあなた。 LHW?を影で支えてくれた友人に贈る曲。 関西に滞在してた時の思い出がたくさんある。 服部から梅田へ、あの電車の雰囲気が好きだった。

「映写機」恋人たちが自分たちを忘れないようにと8mmに残した。 しかし、それこそがとても大切な思い出になった。 二人が死んでも、映像で残された二人はまた蘇る。 BANさんという地元の荒くれ者がいた。その人は音楽が好きで 僕と知り合って変わっていった。彼は2010年に亡くなっている。 「陽と背中」を作るきっかけとなった人。

「独房」死刑囚が最後の日、見た景色が印象的だった。それは彼の引ずる影だった。 外には愛した人がいる。それでも四季を感じ取り暖かく心を備えていた。 僕の父親はどうしようもなかった、もうこの世にはいないけど 真っ当に育ててくれたかけがえのない憎たらしい存在。僕は彼を憎んでよかった。

「青い人」学生時代、ある友人に救われた思い出。 誰でも見られたくないものはあって、それが弱みにも強みにもなっていった。 いつか彼が成長するまで、私は待とう。そして再会を楽しみにしてる。 GOMESSがある日、僕に手紙を書いてくれた。いまでも大切にしまっている。 自分はその言葉に救われ、成長していく彼を見ながら、自分が老いていくことを 実感できる。それはすごく幸せなことです。

「アパートメント」エリックサティ「ジムノペティ」のカバー。男性歌手で日本では 初めてではないでしょうか。題材は「ばれない嘘」 夢もとくにないフリーターの思い出。彼が何も感じない日々の中で 本当は心に隠している美しい景色があり、そのことを唯一、心の許せる友人に話した。 いつか僕の嘘も見破ってぶち壊してくれる人はいるのだろうかと思い願う。

「四季」ユーリーノルシュテインに捧ぐ。プライドの高い、芸術家の女の一年を通して 朽ちていく闘病の日々。寂しくて、孤独で、時間に置き去りになっていく悔しさ。 女優 伊澤恵美子、彼女は普通じゃない。とても不思議な存在だ。 僕に流儀を教えてくれた美しい女性。

「おばけの時間」とても暑い夏の日、病気がちだったある女性の思い出。 彼女の住む、屋敷、森には精霊がいて、それは彼女が作り出したものかも しれないが愉快にダンスする。きっと真意があったのだろうが僕にもわからない。 僕に絵という歩みを教えてくれた柳田さんへ。とても感謝している。 だってこんなに楽しい毎日をくれたきっかけの人なんだから。

「パーティドレス」初めてのパーティの夜、不運を遂げてしまうとても美しい女性。 きっと今夜は私を幸せにしてくれる人がいたのだろうとパーティ会場に急いだんだ。 この曲はDAOKOへ、美しく、それでいていろんな人に染められて それは悲しみではなく生き様であって、かっこいいんだ。胸を張って幸せだって思って欲しい。

「TWO」娘と二人で暮らす父親の思い出。きっと過去には大変なことがあったのだろう。 それでも無条件で笑ってくれる娘に感謝をしている。子供の瞳に親は救われるんだ。 飼い猫のトゥーへ。闘病の日々の中、書いた曲だった。自分の悲しみを拭ってくれたかけがえのない家族。

「バイバイ」都会を歩く青年、すべてが止まって見える。ここで生きていいのだろうか どうやって生きていこうか。そんなこと関係なく、僕の存在は誰にも知られない。 それでも日々は美しくて、なんとか生きなきゃいけない。だから、せめて挨拶を交わそうってそう思った。 不可思議/wonderboyへ、今、自分が都会にいる中で彼の孤独や、彼の苦悩を感じとっている。 ずっと仲間だし、別れられない。けど、たまに教えてくれる。

「川辺」愛した人へ、約束の場所で待っている。それは蛍がいる川辺で、でもそれが叶うことがなかった。 僕には生涯、忘れられない人がいる。僕がテープに思い出を吹き込むならそれだろうと思っている。 ずっと悩んで、ずっと心にいてそれが自分の想像力や表現の源になっていった。 僕の初作「動物たちの演奏会」の最後の曲「talk to you」では「手を僕の胸に 傷なんか無いんだ 君がいれば」 今作最後の曲「川辺」では「ねえ、この胸を触って これが私の弱さ」になっている。 映画「大いなる遺産」からの引用でもある。10年経っても色あせない唯一のもので、変化はあるけども 変わらないものもあって、それがとても愛おしくもある。

今回のアルバムで使用された107年前(2012年当時)のPLEYEL製ピアノですが、6月現在、国立新美術館で開催されている ルノワール展の名画「ピアノを弾く少女」に出てくるピアノと同一のもので100年という歴史を重く受けています。 でもあのピアノを録音していた時、不思議と彼女らがいたような感覚がありました。だからこの絵を見た時懐かしく思いました。 このアルバムには時間がなく、ただそこにあるメモリーなのです。そういう作品でありたかった。
だからこうして完成できたこと、僕の成長とともにこの作品が最高点なんだと思います。

 

 

プロフィール

1981年生まれ、静岡出身、東京在住。芸術家と音楽家の顔を持つ。2005年にNEL HATE名義でのアルバム『動物達の演奏会』を発表後、2006年にLOW HIGH WHO?PRODUCTIONを設立。WEBやパッケージデザイン、ミックス、マスタリング、映像など作品に纏わる物事を全て一人でこなすことで新しいレーベルモデルを完成させ、不可思議/wonderboy、daoko、Jinmenusagi、GOMESSなどをプロデュースし、輩出。2014年には初の自身のフルアルバム『タイムリミットパレード」』をリリース。この年にSTUDIO4℃作品『Tuzki : Love Assassin』の音楽全編を担当。NYのタイムズスクエアで公開された。以降、海外への映像音楽もこなすようになる。2015年、ブラックミュージックに寄せて制作されたミニ・アルバム『球体』をリリース。これにより、シンガーとして新たな一面と成長を見せ、多様な表現を広げている。

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球体 / Paranel 旅人たちのホテル / Paranel タイムリミットパレード / Paranel

 

 

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2016 LOW HIGH WHO? PRODUCTION